相続の根拠とは何か

2015年03月18日の記事です。

相続とは、自然人の財産法上の地位や権利義務を特定の者に継承させることです。
ここでは、相続という概念がどのような根拠から生まれたのかをご紹介致します。

●生活保障として

私有財産制は資本主義社会の基礎となっているものであり、日本でも私有財産制度がとられています。
そのため、自然人が死亡したことで所有者を失った財産は直ちに国庫に収納されるのではなく、その財産に依拠して生活してきた者に委ねるのが望ましいと考えられています。これによって被相続人の配偶者や子などの生活基盤が保障されているのです。

●取引の安全保障として

国民の生活は「取引」によって成り立っているといえます。仕事をして会社からお給料をいただくのも「労働力取引」という取引の一つです。相続は取引の安全保障という意味でも、その役割を果たしています。
例えば、取引の当事者が死亡したことで残された債務・債権が消滅すると、取引の相手方は「死亡」という偶然的な事情によって不測の損害を被ります。これを未然に防ぐためにも、相続という概念が重要なのです。

●相続人の潜在的持分の顕在化

相続は、被相続人の財産に潜在している家族の持分を顕在化する役割を果たしています。
例えば、被相続人が所有する財産の中には、被相続人名義の財産がいくつもあります。
しかし、いくら被相続人名義の財産でも、様々な家族の協力により形成されているのが通常です。

そのため、被相続人の意思だけを尊重し相続を行ってしまうと、財産形成に貢献してきた相続人が損害を被ることがあります。相続では、相続人の潜在的持分の顕在化を図り、相続人の生活を保障しています。例としては、遺留分に関する規定(902条但書など)が挙げられます。これらの根拠から、
相続は被相続人の意思を尊重すると同時に、相続人の生活も保障していると推察できます。

●法定相続分について

上記のように、様々な目的がある相続の制度。被相続人との関係によって取り分が違い、取り分については「法定相続分」という、民法で取り決められています。
配偶者は常に法定相続分があります。例えば、相続人が配偶者のみ場合は100%配偶者が相続人となります。
子と配偶者が相続人の場合、子が1/2、配偶者も1/2となり、子が複数人いる場合は子の取り分1/2から、さらに人数分均等に分割されます。
取り決められているとはいえ、必ずしも法定相続分で分割する必要はなく、話し合い等で相続人が合意しない場合の目安として使われています。

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(2015年03月18日の記事です)

相続放棄の盲点

2015年03月09日の記事です

現在 一斉に相続放棄を手掛けている案件があるのですが

今日 裁判所から追加の戸籍の提出要請がありました

現在 兄弟姉妹の相続放棄の 申述中なのですが

祖父母の死亡の記載のある戸籍も出してくれとのことであります

被相続人の死亡時の年齢等によってもかわってくるのかもしれませんが

通常 この祖父母死亡の記載のある戸籍までだすことはあまりありません

確かに 直系尊属は父母が共に死亡若しくは相続放棄したら 祖父母が相続人になるんです

直系卑属とは違うのですよね

先般 お母さんの相続放棄は終わっており お父さんは亡くなってます

なお このお母さん80過ぎてるのですが それでも 提出を求められました

20歳になる前に生んでいれば 100歳にはなってません 生きてるかも…って思ったのでしょう

祖父母ですから4人の死亡記載のある戸籍が必要となります

注意すべきなのは 父母どちらかが相続放棄しただけでは 祖父母は相続人にはなりませんよ

父母で相続人になる人がいないときに 祖父母は相続人になります

直系卑属の 代襲相続やら 相続放棄の場合と混同しないようにしましょう

自戒の意をこめて・・・

(2015年03月09日の記事です)

相続放棄申述書添付の戸籍も原本還付してもらえます

2015年02月24日の記事です

家庭裁判所に提出する

相続放棄申述書及び利害関係人からの相続放棄申述受理証明書交付申請書等

には 一定の戸籍謄本等を添付しなければなりませんが

この際に添付した戸籍等は 原本還付請求すれば

還付してもらうことが可能です

写しを付けて 還付請求しなければ

原本は返してもらえません

同じ戸籍などを 利用する予定がなければそれでもかまいませんが

後日 相続登記を申請する予定がある場合などは

原本還付してもらっておかないと

同じ書類を再度取得する必要がでてくるので

気をつけるようにしましょう

(2015年02月24日の記事です)

法定相続分通りでも遺産分割協議書が必要なケース

2015年02月20日の記事です

不動産の名義人である方が亡くなって

相続を原因として 不動産の名義を変更する場合

原則 民法が定める 法定相続分通りに名義を変更するのであれば

遺産分割を催す必要はないので

遺産分割協議書を作成する必要はありません

しかし 法定相続分通りの名義変更であっても

遺産分割が必要なケースがあります

例えば 不動産の名義人はお父さん

お父さんが亡くなった後に お母さんが亡くなった 相続人である子供は3人のケース

この場合 子供3人は持分3分の1ずつ だから戸籍をつけて

お父さんからの相続として 子3人の持分3分の1ずつの共有名義へと変更

と考えがちですが 違います

このケースではお父さんの相続とお母さんの相続と

相続が2回発生しているので

遺産分割をしなければ 2回名義変更が必要になってしまうのです

お父さんから 亡きお母さん及び子3人への名義変更をした後

お母さんから子3人への 持分の名義変更となり 余分な登録免許税という

実費負担が増えてしまうのです

そこで

お母さんの立場を相続した子3人で

お父さんの相続につき 遺産分割を開いてそれぞれ3分の1ずつとすれば

直接 子3人へ持分3分の1ずつの名義変更ができるようになり

名義変更が1回で済むようにする必要がでてくるのです

結果 上記のようにすれば 実費負担が軽くなるというわけで

遺産分割協議書が必要となってくるのです

(2015年02月20日の記事です)

遺産分割協議書の作成方法

2015年02月13日の記事です

相続が発生し 法定相続分という

民法上定められた 割合とことなる割合とか

相続人中の誰か一人の単独所有に

不動産の名義を変更したいという場合に

遺産分割を行うことが多いです

(他に 相続分の譲渡やら特別受益やらやり方はありますが)

そして その内容を遺産分割協議書として 書面にして

不動産の名義変更をする際に法務局に 提出します

遺産分割協議書には 参加者全員の実印を押印して頂き

印鑑証明書を付けて 参加者の通数分作成するのが

当事務所の作成方法です

よく同じ内容の書面を 相続人の人数分作り

それに実印を押捺し 印鑑証明書を添付して

併せて 遺産分割協議書としているのをみかけます

確かに これで法務局への名義変更の際の添付書類としては事足ります

けれど 遺産分割協議書としては つまり遺産分割を行った証拠としては

どうなのだろう?と 私は思うので

参加者の数の通数分 同じ協議書を作り 全ての参加者に全ての書類に実印を押捺して頂き

同じ書類である人数分全ての協業書が 全ての参加者のもとをまわるということです

名義変更が終われば 各参加者に保管用としてお返ししています

不動産の名義変更のことだけ考えれば 単独所有になる人の印鑑は

実印である必要もないとか

楽な方法はあるのですが

それは 何か違うと 個人的に思ってます

依頼者の方の負担を軽くするというのと

後日の紛争を防止するというのとのバランスですが

法律家を名乗る以上は

必要最低限のことだけをするのではなく

+αの何かを 提供できるようにしたいと思っております

(2015年02月13日の記事です)