相続発生後、ご依頼を頂き、滞りなく遺産分割につき合意が成立
という事件も少なくありません。
そして、
相続発生後、ご依頼を頂き、遺産分割につき合意が成立せず
裁判所へ申し立て、調停、審判等により遺産分割成立となるが
後味がとても悪く、遺言書さえつくっとけば良かった。。。となる事件も
少なくありません。
今回は、その後者である、後味の悪かった相続事件のおはなしを。
裁判所へ申し立てとなる事案は、意見が対立と言うより
裁判所を使わないと
遺産分割につき協議ができない状態となっていることがほとんどです。
もともと、相続人間に面識がないケース。
例えば、異母兄弟間、配偶者と甥姪間等がこれにあたることが多いです。
当初は、合意する予定だったが誰かが入れ知恵して、相続分は意地でももらうスタンスに変わるケース。
この場合は、相続財産に預貯金等の金融資産があるケースがほとんど。
被相続人の子がいるが、生前からほぼ音信不通で、一切連絡が取れない
等々です。
事案によっては、裁判所からの呼出状が届き、慌てて連絡が来て、裁判所外で遺産分割協議が無事成立し、
解決というケースも少なくありません。
で、今回の事件は、配偶者の方とほぼ音信不通であった甥姪が相続人の事案のおはなし。
クライアントは、配偶者の方。
急な相続発生後、自身で預金の相続手続きを行おうとしたら、何十年もあっていない甥姪が
相続人になると金融機関から指摘を受け、相談にお越しになられました。
相手方相続人である甥姪さんは、当初は協力的な様子(叔母さんも急なことで大変でしょうから、私は何もいりませんよ。で、相続財産は何?という感じ)でしたが、
急にある時点からもらえるものは徹底的にもらうスタンスに変わりました(どなたかが囁かれたのでしょうか)。
とても、悲しい気持ちになりますね、人間ってやっぱりそうなのかなって思わせられますね。
相続財産が不動産のみのときは、ああ結構です。要りません。印鑑押します。の方が多いのですが、
預貯金等の金融資産が相続財産のときは、放棄される方は皆無ですね。
個人的には、兄弟姉妹及び甥姪を法定相続人にする必要はないのでは?と相続事案を重ねていると思います。
あまりにも紛争の原因となり、棚からぼたもち、笑う相続人事案が多いと感じるのです。
結局、ある時から協議が難しくなりまして、裁判所に申し立てをせざるをえなくなりました。
が、相続人はクライアントである方と遠方の県外在住の相手方である二人のみ。
遺産分割調停の申し立てには管轄という、申し立て先となる裁判所の場所が決まっています。
そして、申し立て後は原則裁判所に行かないといけません。
その管轄は、相手方の最寄りの裁判所。つまり、飛行機でないといけないような遠方。
こりゃまずい。
ということで思案した結果、いきなり遺産分割審判を申し立てました。
審判にも管轄があるのですが、審判だと被相続人の最後の住所地の最寄りで良いのです。
遺産分割の場合、調停の申し立てをまずするのが通例なんですが、そうしなければいけないと
法律上はなっていないのです。
申し立て後、一旦は最寄りの裁判所に継続するも、裁判官の職権で調停にしますと言われ
あーだこーだ調停にする必要はないのではとなったのですが、
結局、調停にされ相手方の最寄りの裁判所に移送されちゃいました。
その後、電話会議の方法によって(最寄りの裁判所に行けば良い)、期日を重ねることになります。
調停になった後は、
相手方は他にも財産があるんじゃないか、生前に勝手にお金使ったんじゃないか、葬儀費用を負担するのはイヤダ等々
穿った意見を言い始めます(当然、相手方は一度も裁判所に出廷しませんよ。書面出すだけ。)。
ほんと不毛なやり取りでしたね。
結果、ほぼ法定相続分通りで、調停に代わる審判というやつで事件終了となりました。
裁判所の事件終わらせたがっている感もなかなかでしたね。
遺言書がなかったばっかりに、
ここまでしないと、結局、本件については自分の夫の預金を相続することができなかったんですよ。
わかりますか?
他人のような甥姪が、ごねて、財産が他にあるんじゃないかとか言い出したり、
当事者であれば、誰でも人間不信になりますよ。
ということで、大切な人を亡くし、悲しみに暮れている最中
さらなる悲劇に大切な人を巻き込まないよう、
自分は大丈夫と思わず、遺言書を作っておきましょう。
とてもとても後味の悪かった相続事件のお話でした。
PS
皆さん、ご自分が相続事件の当事者となることは多くないでしょう。
しかし、仕事柄、相続事件に多く携わっていると、いやーな気持ちになることが少なくありません。
人の欲(ヒトを害してでも、労せず金を得たい)という卑しいものをあからさまに見せつけられるからでしょうね。
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