商法改正に伴い、会社法が施行され
株式会社等において、フレキシブルに資金調達ができるようになりました。
当事務所においても、
普通の新株発行による増資案件と比べると件数は多くないですが、
種類株発行による増資や新株予約権付社債発行による資金調達のご依頼を受けることも少なくありません。
既存の法人の多くを占める同族会社においては、検討する必要はないかもしれませんが
ファンド等の出資者から資金を調達する必要がある
スタートアップ企業やベンチャー企業においては
その資金調達の方法についても様々な選択肢の中から選択できるようになったわけです。
しかし、選択肢が拡がった分、検討すべきことも多くなりました。
種類株と一口に言っても、その種類株の内容の設定にあたり検討すべきことは多岐に渡ります。
①剰余金の配当:毎決算期末の株主に支払われる配当金の内容の差異等
②残余財産の分配:会社が解散清算する際の株主への残った財産の分配の内容の差異等
③取得請求権:株主が自分の保有している株を会社に買い取って等と請求できる時の内容の定め等
④取得条項:会社が株主から株を強制的に取得できる時の内容の定め等
⑤議決権:株主総会で議決権を有する決議事項の制限等
⑥種類株主総会の決議事項:特定の種類株主の決議を得なければならない事項の定め等
⑦譲渡制限:株式を譲渡する際の制限事項の定め等
等々
例示しただけで、上記のようなものがあり
定めることができるのは、上記内容だけに留まりません。
新株予約権付社債につきましても、付属する新株予約権の内容だけで
①新株予約権の数
②新株予約権の目的たる株式の種類及び数又は算定方法
③新株予約権の払込金額等
④新株予約権の行使に際して出資される財産の価額等
⑤新株予約権の行使可能期間
⑥新株予約権の行使条件
等々 多岐に渡ります。
社債の内容についても、登記事項ではありませんが、
十分検討した上で、定めなければなりません。
法人登記と言えば、設立、役員変更、本店移転、商号変更、目的変更等
法務局に登記相談に行けば
自分でもできそうな簡単な手続きをイメージしがちかもしれませんが、
今回お話したちょっと複雑な登記手続きこそ
是非とも登記の専門職である司法書士に依頼して頂きたい登記手続と言えます。